皆様こんにちは。
マキデンタルオフィス銀座でございます。
「インプラントは高額だから、一度入れたら一生もの」
そう考えている方は、少なくないかもしれません。
しかし、残念ながらインプラントも天然の歯と同じように「寿命」があります。
せっかく費用をかけて治療したインプラントが、数年でダメになってしまったら…と考えると、治療に踏み切れないのも当然です。
この記事では、インプラントのリアルな寿命から、万が一寿命が来た場合の対処法、そして大切なインプラントを30年以上使い続けるための秘訣まで、専門的な情報を分かりやすく解説します。
この記事を読めば、将来の不安を解消し、後悔のないインプラント治療を選択するための知識が身につくはずです。
インプラントの平均寿命は10〜15年

まず結論からお伝えすると、インプラントの平均寿命は一般的に10年〜15年といわれています。
しかし、これはあくまで統計上の平均値に過ぎません。
適切なケアと定期的なメンテナンスを継続すれば、20年、30年、さらには40年以上にわたって問題なく機能しているケースも数多く報告されています。
近年の研究では、10年後でも90%〜95%という非常に高い生存率が示されており、インプラントがいかに長期的に安定した治療法であるかがわかります。
他の治療法と比較すると、その差はより明確になるでしょう。
| 治療法 | 平均寿命の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| インプラント | 10年~15年 | ※適切なケアで30年以上も可能。天然歯に近く、周囲の歯への負担がない。 |
| ブリッジ | 7年~8年 | 両隣の健康な歯を削る必要があり、支えとなる歯に負担がかかる。 |
| 部分入れ歯 | 4年~5年 | 取り外し式で手入れが比較的容易だが、金具をかける歯に負担がかかることも。 |
このように、初期費用は高くても、長期的に見ればインプラントは非常に優れた選択肢となり得るのです。
インプラントの「寿命」とは?構造(3つのパーツ)を理解しよう
「インプラントの寿命」と一言でいっても、どの部分を指すのかを理解することが重要になります。
インプラントは、実は3つのパーツから構成されているのです。
- インプラント体(フィクスチャー):顎の骨に直接埋め込む、歯の根に相当する部分です。
- アバットメント:インプラント体と次項の上部構造を連結する土台の役割を果たします。
- 上部構造(人工歯):外から見えている被せ物の部分で、歯の形をしています。
それぞれのパーツは役割や材質が異なり、当然ながら寿命や交換の可能性も変わってきます。
| パーツの名称 | 役割 | 主な材質 | 寿命・交換の可能性 |
|---|---|---|---|
| インプラント体 | 顎の骨に埋め込む人工歯根 | チタン | 骨と結合すれば半永久的。ただしインプラント周囲炎で脱落のリスクあり。 |
| アバットメント | インプラント体と人工歯をつなぐ土台 | チタン、ジルコニア | 破損は稀だが、ネジが緩む可能性はある。定期的なチェックが必要。 |
| 上部構造(人工歯) | 見える部分の人工の歯 | セラミック、ジルコニア | 噛む力で破損・摩耗の可能性あり。寿命で交換が必要になるケースが最も多い。 |
つまり、「インプラントの寿命が来た」という場合、多くは上部構造の破損や摩耗を指すケースであり、土台であるインプラント体そのものに問題が起きることは比較的少ないのです。
要注意|インプラントの寿命を縮める5つの原因

インプラントの寿命は、様々な要因によって左右されます。
これから挙げる原因の中に、ご自身に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
これらのリスクを正しく理解し、対策を講じることが、インプラントを長持ちさせる第一歩となります。
原因1:最大の敵「インプラント周囲炎」
インプラントの寿命を縮める最大の原因は「インプラント周囲炎」です。
これは、インプラント版の歯周病ともいえる病気で、インプラント周囲の歯肉や骨が細菌に感染して炎症を起こします。
天然の歯と違い、インプラント周囲の組織は細菌に対する防御機能が弱いため、一度発症すると進行が早いのが特徴です。
放置すればインプラントを支える顎の骨が溶かされ、最終的にはインプラントがグラグラになったり、抜け落ちたりしてしまいます。
原因2:喫煙習慣
喫煙は、インプラントにとって非常に大きなリスク因子となります。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、歯肉への血流を悪化させるのです。
血流が悪くなると、組織の修復能力や免疫力が低下します。
その結果、細菌への抵抗力が弱まり、インプラント周囲炎の発症・進行リスクが著しく高まることがわかっています。
原因3:歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)
歯ぎしりや食いしばりの癖は、無意識のうちにインプラントへ過大な力をかけてしまいます。
天然の歯には、噛む力を和らげるクッションの役割を果たす「歯根膜」という組織が存在します。
しかし、インプラントにはこの歯根膜がありません。
そのため、噛む力がダイレクトに顎の骨やインプラント本体に伝わり、上部構造の破損やネジの緩み、ひいてはインプラント体の脱落に繋がる恐れがあるのです。
原因4:糖尿病などの全身疾患
糖尿病などの全身疾患も、インプラントの寿命に影響を及ぼすことがあります。
高血糖の状態は免疫機能を低下させ、手術後の傷の治りを遅らせたり、インプラント周囲炎を進行させやすくしたりするからです。
ただし、持病があっても血糖値などが適切にコントロールされていれば、インプラント治療は十分に可能です。
治療前にかかりつけ医と歯科医師が連携し、ご自身の健康状態を正確に把握することが重要になります。
原因5:インプラントの品質と歯科医師の技術
使用されるインプラントの品質や、治療を行う歯科医師の技術も寿命を左右する重要な要素です。
いわゆる「格安インプラント」の中には、品質が保証されていないものもあり、骨との結合がうまくいかないリスクがあります。
また、歯科用CTなどを用いて骨や神経の位置を正確に把握し、適切な位置にインプラントを埋入する技術は、長期的な安定に不可欠です。
歯科医院の設備や医師の経験が、インプラントの寿命に直結するといっても過言ではないでしょう。
インプラントの寿命を最大限に延ばす!今日からできる4つの秘訣

インプラントの寿命を縮める原因を知ると、少し不安になったかもしれません。
しかし、ご安心ください。
これからご紹介するポイントを実践することで、インプラントの寿命を最大限に延ばすことが可能です。
大切なのは、ご自身の努力と、信頼できる歯科医院との協力体制にあります。
秘訣1:毎日のセルフケアを徹底する(歯磨き・フロス)
インプラントを長持ちさせる基本は、毎日の丁寧なセルフケアです。
特に以下の点を意識しましょう。
- 丁寧なブラッシング
インプラントと歯肉の境目は、プラークが溜まりやすいポイントです。
毛先の柔らかい歯ブラシを使い、優しく丁寧に磨くことを心がけてください。 - 補助清掃用具の活用
歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間や、インプラントの側面を清掃するために、デンタルフロスや歯間ブラシの使用は必須です。
歯科医院でご自身の口に合ったものを選んでもらいましょう。
秘訣2:プロによる定期メンテナンスを必ず受ける
どれだけ丁寧にセルフケアを行っていても、ご自宅でのケアには限界があります。
そこで不可欠となるのが、歯科医院での専門的な定期メンテナンスです。
個人のリスクに応じて3ヶ月から6ヶ月に一度、定期的に通院しましょう。
メンテナンスでは、セルフケアでは落としきれない汚れの除去や、トラブルの早期発見を行います。
| メンテナンス項目 | 目的 |
|---|---|
| 口腔内診査 | 歯肉の状態、プラークの付着、インプラントの動揺などをチェックします。 |
| レントゲン検査 | 肉眼では見えない顎の骨の状態(骨吸収の有無)を評価します。 |
| PMTC(専門的清掃) | 専用の器具を使い、歯石や頑固なプラークを徹底的に除去します。 |
| 噛み合わせの調整 | インプラントに過度な負担がかかっていないかを確認し、必要に応じて調整します。 |
| 歯磨き指導 | それぞれの口腔内に合わせた最適なセルフケア方法をアドバイスします。 |
こうしたプロの目によるチェックが、インプラントを長期的に守る上で極めて重要です。
秘訣3:後悔しないための「信頼できる歯科医院」選び
インプラントの寿命は、どの歯科医院で治療を受けるかによって大きく変わるといっても過言ではありません。
高額な治療だからこそ、後悔しないために、以下のポイントを参考に慎重に医院を選びましょう。
- カウンセリングが丁寧で分かりやすいか
あなたの疑問や不安に対し、時間をかけて親身に答えてくれる医院を選びましょう。 - メリットだけでなく、リスクも説明してくれるか
良いことばかりでなく、治療に伴うデメリットや将来起こりうるリスクについても正直に説明してくれる姿勢は、信頼の証です。 - 歯科用CTなど精密な診断設備が整っているか
安全で正確な治療のためには、顎の骨や神経の状態を3次元的に把握できる歯科用CTでの検査が不可欠です。 - 長期的な保証やメンテナンス体制が明確か
治療後の保証内容や、定期メンテナンスのプログラムがしっかりと用意されているかを確認しましょう。
万が一、インプラントの寿命が来たら?症状・対処法・費用を徹底解説
どんなにケアを頑張っても、長い年月の中でインプラントに寿命が訪れる可能性はゼロではありません。
ここでは、万が一の事態に備え、寿命が来た際のサインや対処法、そして気になる費用について解説します。
事前に知っておくことで、将来の不安を大きく軽減できるはずです。
| 寿命が来たパーツ | 主な症状・サイン | 対処法 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 上部構造(人工歯) | 欠け、割れ、変色、摩耗 | ・部分的な修理 ・新しい上部構造の再製作・交換 | 5万円~20万円程度 |
| アバットメント | 上部構造のグラつき、脱落 | ・ネジの締め直し ・アバットメント自体の交換 | 1万円~5万円程度 |
| インプラント体 | インプラント全体のグラつき、痛み、歯肉の腫れ・出血(重度のインプラント周囲炎) | ・インプラント周囲炎の治療 ・最悪の場合、インプラント体の除去と再手術(骨造成が必要な場合も) | 除去:5万円~ 再手術:30万円~(骨造成は別途費用) |
表からも分かるように、多くは上部構造の交換で対応可能であり、インプラント体そのものを再手術するケースは稀です。
しかし、インプラント周囲炎が重症化すると、大掛かりな再治療と高額な費用が必要になる可能性があります。
だからこそ、日々のケアと定期メンテナンスが何よりも重要なのです。
【まとめ】インプラントの寿命は、あなたと歯科医院の二人三脚で決まる
インプラントの寿命は、決して歯科医院任せで決まるものではありません。
ご自身の丁寧なセルフケアと、プロによる定期的なメンテナンスという両輪があってこそ、30年、40年と長期にわたって快適に使い続けることが可能になります。
インプラントは「治療して終わり」ではなく、むしろそこからがスタートなのです。
高額な治療だからこそ、技術力はもちろんのこと、治療後もあなたの口腔内の健康を長期的にサポートしてくれる、信頼できるパートナーとしての歯科医院を選ぶことが最も重要です。
もし、インプラントに関する不安や疑問があれば、まずは専門家に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
マキデンタルオフィス銀座では、患者様一人ひとりのお悩みに寄えるよう、カウンセリングを実施しています。
あなたの不安を解消し、納得のいく治療を選択するためのお手伝いをさせていただきます。



